キューブの発表でも反発しなかった株価の上昇は,OS Xへの見えない期待によるものだ。CPUやグラフィックボードなど,他社製品と比較することが容易なハードウェアに比べて,OS Xの気高さだけが身にしみる。比較されることを問題としない,そこにある力の意味を考えたい。
アップル社の株価を扱うアナリストたちは,マックOS Xがウインドウズの主要アップグレードと同じくらい大きな影響を与えるとした。これにより18日の株価は上昇した。投資家向けのレポートでは,「投資家はOS X発売がもたらしうるポジティブな影響に集中すべきだ」としている。
とはいっているが,現在のアップルの最も評価すべき点は,その製品を,他社のものと比較したり,競争したりしていない点,かもしれない(CPUの処理スピードの比較はよくするが,アップルはCPUメーカーではない)(過去記事)。まぁ株価は総じて他との比較から生まれるものだから仕方ないのだが,その証しかジョブズが株価について現状把握以上の意見を云ったことはない。最高のOSを作ること,最高のハードウェアをつくること,それだけが絶対だ,他社の製品などには興味がない,勝っているとか,劣っているとか,なんてことはどうでもいいことなのだ。
DOS上のウインドウズ95と,フリーBSD上のマックOS Xは似ているという話を聞いたことがある。だがそれを云うなら,OS9とOS Xとを比較すべきだ。フリーBSDとマックOS Xとの関係は,リナックスとXに似ているが,それも観点がずれている(詳細はまた今度)。全体的に,他と比較して重大なのではない。ただ,その存在が,重大なのだ。比較することに意味はない。競争することに意味はない。自ら,唯一絶対になること。その意志が,重大なのだ。
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